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2025年6月の一般質問

初議会に参加してきました。


一般質問は、議員から市長や担当部局に市政の質問をするもので、年に4回ある議会の中で、行われます。1議員につき、持ち時間は50分です。


今回は、しいたけ生産者さんと磯焼け対策に取り組む漁師さんから色々とお話を伺ったことを踏まえて、私もこれまでの活動も踏まえて、質問を組み立てました。


長文になりますが、是非お読みください。


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吉野からの最初の質問


皆さん、こんにちは。新友会の吉野です。今日は私が945票の市民の皆さんから託された期待を胸にこの場に立っています。


私は、市民の代表として、市長や市議、そして行政の皆さんと一緒に建設的な議論を進めていきます。私の目標は、市民の皆さんが希望を持って、より楽しく暮らせる街づくりのために、新しい仕組みや制度を提案することです。


私が目指す未来の姿は、「自然と共生する持続可能な社会」です。私たちは豊かな自然に感謝し、市民同士が助け合い、励まし合うことで、心豊かに生きることができると信じています。


対馬は、これから多くの若者が移住してくる魅力ある島だと確信しています。私自身も13年前に都会からこの島に移住しました。今の世の中の状況や対馬の可能性を考えると、若者が集まる仕組みや制度が鍵となります。


何よりも大事なのは、出会いや人とのつながりです。この議場にいる皆さん、対馬出身の若者に「戻って来てほしい」と声をかけませんか。例えば、もしここにいる20名の方が、それぞれ5人の友人を連れ戻せれば、なんと100人になります。


若者が増えることで、さまざまな産業や仕事の担い手が確保され、高齢者を支える力も強くなります。そうすれば、対馬の地域経済も活性化し、生活インフラも維持できます。


私は、若者の移住や定住を促進することが、対馬の未来を明るくする鍵だと信じています。一人ひとりが対馬のためにできることはまだまだたくさんありますので、ぜひ皆さんも共に頑張っていきましょう。


さて、ここから本題に入ります。一般質問をさせていただきます。


私の質問は、通告通り2つの大きなテーマについてです。1つ目はシイタケ産業、2つ目は磯焼け対策です。


対馬のシイタケ産業の現状と、それに対する支援策について


シイタケ生産は対馬市の主要産業の一つで、対馬の独特な気候のおかげで高品質のシイタケが生産されています。私自身も、ホダ場で新鮮なシイタケを焼いてバターソースで食べた時、その美味しさに感動しました。まさに対馬の宝です。


これまでの生産量を振り返ると、昭和56年には約500トン、年間の生産額は約15億円、そして生産者は1,252件もいました。しかし、中国産のシイタケの輸入が増加し、価格が下がる中で、生産者の高齢化も影響し、現在では生産量はわずか20トン、生産者数も136件に減少しています。


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シイタケ生産は、貴重な食材の提供だけでなく、原木林の伐採と再生を通じて、明るい里山の整備や生物多様性の保全にも寄与しています。シイタケの原木となるのはコナラやクヌギなどで、これらを伐採し再生することで森が明るくなり、さまざまな生物が住める環境が保たれています。


しかし、シイタケの生産は重労働で、ある生産者が「シイタケの奴隷」とまで表現しているほどです。生産期間中は菌打ちや植菌、収穫、さらに乾燥作業など、全てが手間のかかる工程です。

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価格は少し持ち直したとはいえ、1キロの乾燥シイタケが5,000円で、令和3年度の生産量20トンでは約1億円の売上となります。これを137名の生産者で割ると、平均年商は約73万円となり、経費を考えると多くが赤字の状況です。また、シイタケ生産者の高齢化も進んでおり、これ以上の生産が難しいという意見が多く寄せられています。


現在、20代から40代のシイタケ生産者は非常に少なく、今後10年以内にこの産業が途絶える危険性があると心配しています。


農林水産業に従事する皆さんは、私たちが日常生活に必要な食料を生産し、自然環境を守る重要な役割を担っていますので、税金を投入して一次産業の担い手を支えることが、この先の時代に必要不可欠だと思います。今が対馬のシイタケ産業を維持・発展させるために動く最後のチャンスだと考えています。


そこで市長にお聞きします。


今後の対馬のシイタケ産業の維持・発展に向けたお考え、そして市の支援状況やその効果、課題についてお聞かせください。特に、生産者が困っている原木調達の支援、新規生産者の確保や育成、高付加価値化、販路開拓などについて具体的にお答えいただければと思います。


藻場再生の取り組み状況と今後の戦略的な磯焼け対策について


対馬の基幹産業は水産業であり、その活性化は島の生き残りにとって非常に重要な課題です。しかし、海藻類が藻場から消え、砂漠化する磯焼けが全島に広がっています。藻場は「海のゆりかご」と呼ばれ、魚やイカ、貝類の隠れ家や住処となる場所です。また、漁民にとっては、魚介類やヒジキを収穫し、現金収入を得るための重要な場でもあります。現在、藻場が乏しい状況が続いています。


これまで、漁業集落や藻場再生活動組織では、海藻を守るための食害生物対策や海藻の植え付け、食害生物の駆除といった活動が行われてきました。


2023年7月の広報対馬の特集号で取り上げられた「食べる磯焼け対策」は、臭くて食べられなかったアイゴやイスズミなどの食害魚を活用するプロジェクトです。漁業者が大量に捕獲した魚を加工業者に渡して商品化する事業で、これにより付加価値が生まれています。この取り組みは、5年間の補助事業が終了した今でも地元の水産加工業者が自主的に続けており、全国的に評価されていると聞いています。対馬市が立ち上げを支援し、5年後には自立できる仕組みが整ったことは理想的です。



また、鴨居瀬の漁民からは、防護柵のない場所で天然のヒジキが乾燥250キロ収穫できたという嬉しい報告も寄せられています。対馬の他の沿岸でも、知られざる藻場の再生の可能性があるかもしれません。


隣の壱岐市では、市の自主財源を使ってイスズミを駆除する「イスズミハンター」制度を設け、1匹500円の報償費を支払った結果、4年間で31,830匹の捕獲に成功し、約332ヘクタールの海藻が増えたと報じられています。この取り組みは、CO2吸収量を金銭化できるブルーカーボンクレジットの販売にも結びついています。


今こそ、藻場再生の取り組みを戦略的に進める必要性を強く感じています。そのためには、まず現状の把握が重要です。これまでの活動と成果を整理し、どの場所で藻場再生の可能性があるかを特定することが必要です。集中的に予算や人的資源を投入して、戦略的に進めていくべきだと考えています。


そこで市長に質問します。


  1. 市が関わっている磯焼け対策の具体的な取り組み内容や実績について教えてください。

  2. 現在、全島の磯焼けや藻場再生状況について市長が把握されている情報があればお知らせください。

  3. 今後、対馬沿岸のどの藻場が再生しているかを把握するための調査を実施できるか、考えをお聞かせください。

  4. 藻場再生活動やモニタリングに力を入れる地域の選定と、その地域への戦略的な対策への支援について市長のお考えをお聞きします。


市長からの答弁(要約)


対馬シイタケ産業の現状と支援策について


対馬原木シイタケは、対馬市を代表する特産品であり、地域の主要産業の一つです。シイタケ産業は、アベマキやコナラなどの原木林の伐採と再生を促進し、里山の整備や生物多様性の保全にも寄与しています。しかし、近年は生産者の高齢化や後継者不足が進み、シイタケ生産者数や生産量は年々減少しています。具体的には、昭和56年には1,252戸の生産者がいましたが、令和5年度には102戸にまで減少し、生産量も21トンに落ち込んでいます。


市としては、この厳しい状況を踏まえ、長崎県や対馬農協、森林組合などの関係機関と連携し、「対馬シイタケ復活プロジェクト」を進めています。このプロジェクトは、各団体のトップで構成されたチームが進めるもので、主要な対策として原木対策、生産品質対策、販売戦略を掲げています。


支援策としては、「シイタケ生産推進補助金」を設けており、植菌個数に応じた支援を行っています。また、令和5年度からは原木調達に関する支援サービスも開始しており、既に31人が活用しています。これにより、今年度の干しシイタケ品評会では142点が出品されるなど、生産者の努力が実を結んでいることが示されています。


さらに、担い手の確保に関しては、移住意向者へのPR強化や、農業次世代人材投資事業を通じた人材確保を進め、産業の維持に努めていく考えです。


藻場再生の取り組みと磯焼け対策について


藻場の現状は、温暖化や植食性魚類の影響により海藻が減少し、磯焼けが拡大する深刻な状況にあります。藻場は多くの水生生物の生息地であり、海水の浄化など重要な役割を果たしています。対馬市は、離島漁業再生支援交付金や水産多面的機能発揮対策事業を活用し、藻場再生のための取組みを拡大しています。


具体的には、昭和6年度には、魚類の駆除や藻類の種苗投入が行われ、全島的な活動が展開されています。これまでの5年間で、藻場に関連する支援事業には約6億3,000万円が投じられ、食害魚の駆除が約16万3,000尾、ウニが約300万個駆除されるなど、効果が見られています。駆除された魚類は、飲食店や学校給食に供給されており、地域の流通体制も整っています。


藻場の回復に向けては、食害対策と環境変化への適応が重要ですが、迅速な効果発現は難しい状況です。そのため、駆除活動を継続的に拡大し、安定した予算確保に向けて国や県に要望を行う方針です。また、藻場回復を目指すモデル地区を設定し、地域と協議しながら最適な対策を模索していく考えです。これには、南方系海藻種の導入や河川流域での植林拡大などの新たな手法が含まれます。


今後も、対馬市は関係機関と連携しながら、シイタケ産業の復活と藻場再生に向けた取り組みを強力に推進していく所存です。市民の皆様の支援と協力をお願いしています。


その後の一問一答(要約)


対馬シイタケ産業の現状と支援策について


私は、令和5年から6年度にかけて補助金メニューが拡大されたことを喜び、生産者にしっかりと補助金が届くよう配慮を求めました。また、補助金が十分かどうかを生産者から直接聞く意向を示しました。


原木調達


次に、原木調達についての追加の質問を行いました。対馬の急峻な地形が作業を困難にしているため、今後10年から20年を見越して、平地にコナラやアベマキを植えることを提案しました。また、耕作放棄地や放置された人工林の活用について触れ、更に将来的には島外から原木を調達することも検討すべきとの意見を述べました。


市長は、耕作放棄地にコナラやクヌギを植え、将来的にシイタケ栽培に役立てる施策がすでに検討されていることを確認しました。対馬の島内でも、既にこうした植栽を行っている場所があることを認識していると述べられました。


次に、市長から、原木の仕入れ価格について言及しました。現在、原木に対する補助金は1本あたり180円であり、価格の幅が広がっているため、今後は適正な価格帯に集約する必要があるとの考えを示しました。


さらに、市長は島外から原木を仕入れる案については、危険性があることを指摘されました。島外からの原木に害虫が含まれる可能性があり、それが対馬の原木に悪影響を及ぼすため、慎重に検討する必要があるとの意見を述べられました。


シイタケ生産者の後継者確保


次に私は、シイタケ生産者の後継者確保の必要性について議論を展開しました。市長の言及した農業人材確保支援事業や兼業拡大が有効であることを認識しながらも、新たな提案として「島おこし協働隊」の活用を提案しました。この制度を利用することで、シイタケ生産者に弟子入りし、技術の継承を図るとともに、高齢化が進む生産者の力仕事を手伝うことで生産量の増加を期待しています。


具体的には、夏場などシイタケ生産が比較的余裕があるときに、森林整備や除柵設置、あるいは農業の担い手や獣害ハンターとしても活動できる人材を3年間で育成・増加させるアイデアを示しました。


ちなみに北海道の東川町は人口8,500人弱ですが、80名の現役の隊員がいるそうです。およそ100人に1人は地域おこし協力隊です。島根県の海士町では87名、西粟倉、起業が多く誕生している町ですが、こちらも64名ということで協力隊制度もやり方、魅力的な制度とか仕組みっていうことを作り込めば人は十分に集まると思います。


市長からは、私の提案を「素晴らしい」と評価しました。しかし、協働隊に応募する希望者が年々減少している現状を指摘し、これが対馬市の悩みの種であると述べました。市は多くの協働隊を抱えているが、希望者数の減少は課題となっています。


市長は、議員が提案した委託型や団体委託型の活用について、「後継者として素晴らしい考え」と肯定しつつ、具体的な進展についてはさらなる検討と勉強が必要であると述べました。


シイタケ産業の出口戦略


私は、シイタケ産業の出口戦略について質問をしました。離島振興地方創生協会が中心となって販売拡大に向けた取り組みを行っていることを確認した上で、シイタケが少量多品目であるため、付加価値をつけて販売することが重要であると強調しました。特に、高級店への直販や地産地消の仕組みの導入が課題であり、これを通じてシイタケの価値を再評価される可能性があると述べました。


具体的には、対馬のシイタケを東京の高級レストランに直接送ることで、売上を向上させる方法の実現を提案しました。また、他の漁業者がすでに高級料亭に直接販売を行っている事例も挙げ、シイタケ生産者の所得を増やすためにこうした戦略を参考にすべきだと主張しました。


農林水産部長の平川部長は、シイタケの出口対策について回答しました。離島振興地方創生協会が出口戦略を組み立てる予定であることを確認しましたが、大手に販路を確保するためには安定した収量と出荷量が必要であるため、現実には難しさがあることを指摘しました。そのため、多様な販売先を持ちながら、適切な場所に出荷するよう努める方針を示しました。


短期・中長期の戦略・事業計画の作成と共有の重要性


私は、シイタケ産業の今後の展望について強い期待を表明しました。


私が作成した資料を基に、様々な市の補助を考慮し、短期的および中長期的な具体的な計画を策定してほしいと要望しました。生産者や協力者が戦略的に進める事業計画を作成し、将来的な復活プランを描くことが重要だと強調し、今後の進捗に期待を寄せました。


吉野が一般質問用に作成
吉野が一般質問用に作成

藻場再生の取組みについて


私は、藻場再生の取組について質問し、特にモニタリングの重要性を強調しました。最近の技術進歩、特に環境DNAやスマート水産業入門などを活用し、藻場の資源量を把握するための情報収集を効率的に行う必要があると述べました。


また、定点観測だけでなく、全域での状況把握を求め、どこが再生可能であるかをデータで示すことが重要であると強調しました。具体的には、モデル地域の選定や集中的な事業展開に役立てるため、現状をきちんと把握し、戦略を立てることが必要だと指摘しました。


また、対馬沿岸は900キロ以上もあるため、様々な情報源—漁民や市民、研究者からの情報—を活用して、効果的な取り組みを進めるべきだと提案しました。最終的には、市民や漁民と一緒に藻場復活に取り組むチームワークを築いていくための意気込みやアイデアを市長から聞きたいと要望しました。

吉野が一般質問用に作成
吉野が一般質問用に作成

市長は、藻場回復の実証モデル地区についての自身の理解が浅かったことを認め、担当者との話し合いを通じて現在の補助事業のエリアとの重複ができないことについて、がっかりしたと述べました。市長は、地域の方々と協力しながら、適切な場所の選定を進め、研究を深めていく意向を示しました。


私の反省点としては、あと5分余っていたので、磯焼け対策の今後の具体的な支援策や戦略についてもう少し深掘りできればと思いました。





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